新学期が始まり1ヶ月が経ちました。新入生と話をすると、よく「私は生まれつき数字(その他にも言語や記憶することなど)が得意じゃないの!」という声を聞きます。多くの生徒は、能力は生まれつきで、決して育っていくとは思っていないのです。
しかし、心理学者の研究によると、自分の能力は努力によって伸ばすことができるという信念を持っている生徒は、能力は生まれつきだ信じている生徒に比べて、モチベーションが高く、成功する確率が高いことがわかっています。
スタンフォード大学のキャロル・ドウィック博士は、前者の自分の能力は伸ばす事ができるという考えをgrowth mindset(しなやかマインドセット)、後者の生まれつきという考えをfixed minset(こちこちマインドセット)と説明しています。マインドセットとは、生まれ持った性質や環境から形成されるものの見方や考え方です。
やわらかマインドセットを持つ人は、自分の能力は努力や経験によって伸ばすことができると考えます。まるで、筋肉を鍛えるようにです。ですから、うまくいかないことや間違っていてもそれを成長の機会と捉えます。何がいけなかったのか?と考えるわけです。
しかし、コチコチマインドセットを持っていると、自分の能力は固定的で変わらないと信じていますから、自分の能力を証明せずにはいられないのです。まるで、生まれ持った目の色のように変える事が出来ないと信じているのです。ですから、うまくいかないことがあると、自分の能力が否定されたということになります。つまり生まれつきの能力が足りないから、できなかった。そして、今後も能力が変わらないからできないだろうと考えるのです。その結果、努力を避け、挑戦することを避け、立ち直ることができないと考えるようになるのです。
どちらを信じるかによってそのあとの人生に大きな違いがでることはいうまでもありません。
生徒たちがもしこちこちマインドセットを持っていれば、学校は、自分の能力を育てるためではなく教師や試験によって試されていると感じてしまうでしょう。やわらかマインドセットを持っていれば自分の成長する場だと思えるでしょう。
そこで、今回は、柔らかマインドセットを育てるためのレッスンの一つをご紹介しましょう。
アクティビティー「未来の生徒への手紙」
学びに関する手紙を書きます。
生徒にスポーツや勉強でいままで大変だと感じたことを聞きます。どのように感じたのか?どのようにのりこえたのか?そこから何を学んだのか?未来の生徒にその大変なことから何を学んだのか、アドバイスを手紙に書くように伝えます。期末試験のように今後生徒が悩むだろう時期に渡せるように手紙を集めて保管しておきます。
<方法>
以下のことを生徒に伝えます。
学びに関して大変だったことを思い出しましょう。スポーツで新しい技を身につけた時でも、とっても難しい宿題をした時でもどんなことでも良いです。最初は失敗したけど忍耐強くがんばって最終的に少しでもうまくできるようになったことを思い返しましょう。
そして、”未来の生徒”にそのことについて手紙を書きましょう。少なくとも5つ、その生徒にあなたの話を伝えましょう。何か新しいことを学ぶことになったその生徒にアドバイスを書いてみましょう。
〜手紙の例〜
ポジティブ教育インストラクター講座ではこの他にも理論と理論に元づくすぐに使えるアクティビティーを紹介しています!
参考:『「やればできる!」の研究―能力を開花させるマインドセットの力 』(キャロル・ドウィック著)