「あなたの強みは何ですか。」と子ども達に聞くと、
「優しいところ」「おもしろいところ」など性格的な長所を挙げたり、
「足が早いところ」「頭がいいところ」など
能力的に優れたところを挙げたりとその答えは一人一様です。
このように「強み」にもいくつかのタイプがあります。
ライアン・ニーミック博士による6つの強み (Niemiec, 2018)
1.才能:物事を自然とうまくできてしまう能力。
2.スキル:訓練によって身につけたある特定の技術。
3.興味・関心:自分が好きなこと、夢中になれること。
4.リソース(資産):人間関係や生活する環境、経済的状況など自分を支える外的な要素。
5.価値観:私たちが大切にし、行動の指針にしているもの。
6.キャラクター・ストレングス:ポジティブな性格特性。
キャラクター・ストレングスとは、ポジティブな性格的特性です。
そして、自分という人間をあらわすアイデンティティーの核であると同時に、普段の考え方や行動の中にもその個人の特徴としてあらわれます。
時代によって変化することはなく、この強みがよりよい人生を送る上では欠かせない、人間としての美徳に関わるものなのです。
24のキャラクター・ストレングス(一部)
出典:小学生のミカタ 見つけてのばそう!自分の「強み」小学館
美徳と徳性としての強み(キャラクター・ストレングス)に関する科学的な研究が、
ポジティブ心理学の枠組みの中で始まったのが2000年代初頭のこと。
V I A(Value in Action)プロジェクトと呼ばれたこの一連の研究成果により、
時代や文化の違いを超えて人類に共通する6つの美徳とそれにつながる
24の徳性的な強み(キャラクター・ストレングス)が特定され、
続いて徳性的な強みを科学的に測定するアセスメント (VIA-IS, VIA-Youth)も開発されました。
アセスメントの開発により、世界中でキャラクター・ストレングスの科学的な研究が進み、強みとウェルビーイングとの関連性、仕事や教育、人間関係など様々な領域で強みを意識的に活用することの恩恵などが明らかとなりました。
具体的にはこれまで以下のような様々な実証的な研究結果が報告されています。
キャラクター・ストレングスの積極的な活用は、ポジティブ教育の重要な柱の1つとして位置付けられています。
海外ではすでに実証に基づく取り組みにより、子ども達や教師らのウェルビーイングの向上のみならず、学習成績の向上などの実際的な成果がみとめられています。
こうした海外での先行事例などを参考に、今後日本においても各教育現場や家庭など、各現場の実情を考慮した実践可能な取り組みへの期待がさらに高まっています。
日本ポジティブ教育協会は日本における強み研究のパイオニアとして、こうした期待に答えるべく、各講座や講師派遣、教育プログラムの開発などを通して、強み教育の発展と推進に今後いっそう積極的に取り組んでまいります。
日本ポジティブ教育協会では、子どもの強みを見つけてのばすコーチを養成するコーチ養成講座、子育てに強みを活用する親向け講座などをご用意しております。 また、講演や研修に講師の派遣も行っております。
Peterson, C., & Park, N. (2009). Classifying and measuring strengths of character. In S. J. Lopez & C. R. Snyder (Eds.), Oxford handbook of positive psychology (2nd ed., pp. 25–33). New York, NY: Oxford University Press.
Seligman, M. E. P. (2002). Authentic happiness. New York, NY: Free Press.
足立啓美・吾郷智子(2020)『小学生のミカタ見つけてのばそう自分の「強み」』,小学館.
VIA Institute https://www.viacharacter.org/character-strengths-via