顧問からの挨拶

顧問からのあいさつ

みなさんは、子どもたちにどのような人生を送ってほしいと考えていますか?

「幸せになってもらいたい」「心身ともに健康でいてもらいたい」「平和に生きてもらいたい」。このような思いが浮かんできたのではないでしょうか? 親であれ、教師であれ、子どもたちには幸せで豊かな人生を歩んでもらいたいと常に願っているでしょう。欧米では、青少年のうつが深刻な問題となっています。

先進国において、精神疾患が増加し、人種・宗教間の緊張・対立が深まるなかで、どうすれば幸せな人生を送るためのスキルを子どもたちに授けてあげることができるでしょうか? 心身ともに健康で平和を尊ぶ市民を育てるために、私たちには何ができるでしょうか。

その鍵は、学校に心理・社会的な資質やスキルの獲得を促す教育である「心理・社会的教育(ポジティブ教育、社会性と情動の学習プログラム、平和教育などとも呼ばれる)」を導入しようという、最近の試みにあると考えられます。

心理・社会教育の目的は、子どもたちがよりよい生き方を学ぶことで、さまざまな問題が発生することを予防するとともに、他人と共生するためのスキルを身につけ、それを伸ばすことにあります。

心理・社会的教育は、児童の発達過程と最新の科学的知見に即しておこなわれるとともに、それぞれの教育的支援や介入の結果が実証的に検証されているのが特徴です。実際に、27万人の児童・青年たちに実施された数々の教育プログラムの効果を実証的に検討したところ、彼らの社会的・情緒的なスキルや態度、行動、さらに学業成績のいずれもが顕著に向上したという結果が示されています。

事実、子ども期を健全な人間関係のなかで過ごすことには数えきれないメリットがあります。教室の雰囲気は、教師や生徒の満足度、ストレスレベル、学業成績を左右します。児童期に幸福であった人びとは、成人後も幸福である場合が多く、結婚、健康、長生き、収入、仕事のパフォーマンスなど、さまざまな場面でよい結果を得ていることも報告されています。

こうしたことから、ポジティブ教育などの心理・社会的教育は決して従来の学校カリキュラムへの「ぜいたくなオプション」などではなく、子どもたちの精神を健康に保ち、バランスのとれた人生を歩ませ、社会に貢献できる人間を育てるために必須の教育であるといえます。

当協会では、ポジティブ教育の複雑な概念を、わかりやすく、日本の文化に合わせた講座や教育プログラムを提供しています。また、研究にも力をいれており、ポジティブ教育の理論と実践の橋渡し役として大きな貢献を果たすと確信しています。

そして、当協会の活動が、子どもたちが自分自身を受け入れ、他人とよりよい関係を保ちながら共生・共栄を可能にする教育実践のための貴重な助けになると信じています。

一般社団法人日本ポジティブ教育協会顧問
英国アングリアラスキン大学大学院応用ポジティブ心理学プログラムリーダー
Dr. イローナ・ボニウェル

 

代表からのあいさつ

この度、海外で注目を集める「ポジティブ教育」を国内で紹介し、
次の日本を担う子どもたちや若者たちが幸せでたくましく生きる力、
そして意欲をもって学び続ける力をはぐくむことを目的として、

イローナボニウェル博士(当協会顧問)支援のもと、当協会を設立するにいたりました。

「ポジティブ教育」はポジティブ心理学を教育に応用したアプローチです。
幸せで豊かな心を養い、学習のやる気や意義を高める「ウェルビーイング」(促進)。
日々の生活で困難や失敗に直面してもあきらめずに立ち直る「レジリエンス」(予防)。
この二つの心理的能力を伸ばすことを中心としています。

世界では「自尊感情教育」や「社会的・感情的学習(SEL)」に続く子ども達の心をそだてるアプローチ方法として、
学校や地域の青少年教育、そして子育てに活かされています。
私たちは「ポジティブ教育」の熱意ある先駆者として、
都内の高校や国内の小学校にそのプログラムを導入し、エビデンスを重ねてきました。

そこで得たのは、予想以上の調査結果と授業に出席した生徒のポジティブな変化でした。
目が輝き、自信がみなぎり、「これから失敗することがあるかもしれないが、その経験には何か意味があると考え、前向きに人生を送っていきたい」と語る生徒の言葉は、
講師の励みと喜びとなりました。

日本ではまだ種が蒔かれたばかりの「ポジティブ教育」ですが、
次の世代に何か意味あるものを残したいと考える教育関係者・カウンセラー・子育て熱心なご両親と共に、当協会を通した前向きな活動を進めて参りたいと思います。

日本ポジティブ教育協会 代表理事
足立 啓美